野のくさプロジェクトについて

古くより私たちは、野草から、食べ物や薬、服など、たくさんの恵みを受けて生活してきました。万葉集の中でも、ススキやナデシコなど多くの野草が詠まれてきたように、色とりどりの野草は、花を愛で、虫の声を楽しむ日本文化を育みました。

今や、ドラえもんの世界にしか存在しないかもしれない、まち中の「原っぱ」は、子どもたちの大切な自然体験の場所でした。草花遊びや虫捕りを通じて、様々な遊びの文化が生まれ、感性が育まれてきました。大人以上に忙しく「草臥くたびれた」今の子どもたちですが、子ども時代くらいは、自然の中で大いに「道草を食わせて」あげたいものです。

ビジネスに専念する大人たちにとっても、野草をはじめとした生きものたちの存在(生物多様性)は、決して無視できるものではありません。生物多様性への影響を軽視したがゆえに、大きな痛手を被った事業は数知れません。一方、生物多様性への貢献によって、企業イメージを上げ、環境リスクを下げようとする動きもみられます。当協会のJHEP認証制度においても、再開発事業で、生物多様性の質の高いまとまった自然を造成した例や、集合住宅の建設で、すべて在来の植物種を用いて植栽がなされた事例などがあります。これらは、定量的に評価され、事業前よりも生物多様性価値の向上に貢献したことが認証されています。 しかし、特に既存の施設などでは、高木を植えたり、湿地環境や本格的な草原の造成といった大がかりな環境づくりが難しい場合が少なくありません。また、敷地の面積が小さく、取り組みの余地が限られる場合もあります。

そこで、当協会では、小面積から取り組み可能で、文化的な価値も高い「野草」に着目し、「野のくさプロジェクト」を立ち上げました。  本プロジェクトでは、これまで「雑草」として軽んじられ、日陰者扱いされてきた(もちろん、日陰を好む野草もありますが)重要な資源、「野草」を活かした、まちづくり・地域づくりを進め、生物多様性の価値を高めていくことを目指します。絶滅の危機にある希少種はもちろん、身近で減少しつつある「普通種」も対象として、市民や企業、行政と共に野草の調査研究、保全再生、普及啓発に取り組んでいきます。みなさまのご参加、ご支援を、心よりお待ちしております。

  1. Home
  2. 野のくさプロジェクトについて